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1924年、アルトゥーロ・ドス・レイスは歴史上最も大胆な金融詐欺の一つを企て、ポルトガル経済をほぼ壊滅させ、国の運命を変える革命を引き起こしました。

1896年、リスボンの葬儀屋の息子として生まれたアルトゥーロは、貧しい家庭に生まれたにもかかわらず、野心家でした。偽造されたオックスフォード大学の資格証明書を使い、20歳でポルトガル領アンゴラの名門エンジニアの職を得ました。彼が偽造した資格証明書には、冶金学から古文書学まで、あらゆる分野の専門知識があると主張していました。魅力と狡猾さで、彼は28歳で公共事業監督官にまで上り詰めました。

ポルトガルのセシル・ローズになることを夢見たアルトゥーロは、600万ポンドの資本金で鉱物資源開発会社を設立しました。しかし、正当な資金調達が失敗すると、無価値の小切手を使って鉄道会社の買収を企み、小切手が決済される前に会社の資金を横領しました。逮捕され投獄された彼は、獄中生活を利用してポルトガルの銀行法と通貨制度を学びました。

獄中で、アルトゥーロはポルトガル中央銀行が密かに法定限度を超える通貨を過剰発行していたことを知りました。政府が無制限に紙幣を印刷できるのであれば、自分にもできると悟ったのです。ロンドンの名門ウォーターロー・アンド・サンズ社が、偽造防止のセキュリティ機能を備えたポルトガル紙幣を印刷していることを知り、彼はある計画を考案しました。紙幣を偽造するのではなく、ウォーターロー社を騙して合法的に紙幣を印刷させるのです。

1924年に釈放されたアルトゥーロは、オランダの外交官兼銀行家であるカレル・マランをウォーターロー・アンド・サンズ社に引き入れました。マランは自分がポルトガル政府の代理人だと信じ込み、ポルトガルのアンゴラ植民地向けに500エスクード紙幣20万枚（現在の価値で1億4200万ドル相当）を要求しました。紙幣には既存の通貨と同じプレートとシリアル番号が使用され、混同を防ぐため「ANGOLA」の刻印が重ねて押されることになりました。

アルトゥーロは、ポルトガル銀行総裁の印章と署名が押された委任状など、巧妙な偽造文書を作成しました。ウィリアム・ウォーターロー卿は、本物に見える書類とマランの外交資格を確信し、この注文を承認しました。紙幣は外交特権を利用してリスボンへ発送されました。

アルトゥーロは1925年5月、アンゴラ銀行とメトロポリス銀行を設立し、偽造通貨の洗浄を行いました。彼の銀行は前例のない顧客サービスと容易な融資を提供し、偽造紙幣を実物資産に転換することで急速に人気を集めました。巨額の資金投入によりポルトガルの通貨供給量は倍増し、好景気とインフレを引き起こしました。

疑念を抱いた競合銀行や新聞社は捜査を開始しました。中央銀行は検査を行いましたが、不正は見つからず、アルトゥーロの銀行を推奨する内容まで記載されていました。勢いづいたアルトゥーロはさらに2億エスクードを発注し、密かにポルトガル銀行の株式を買い始めました。

この計画は1925年12月、別の銀行が同一のシリアル番号を持つ2枚の紙幣を発見したことで発覚しました。警察の捜索により、ウォーターロー銀行で印刷された紙幣が詰まった木箱が発見されました。市民は通貨両替に殺到し、パニックに陥りました。

アルトゥーロはアンゴラから帰国後逮捕されました。5年間の法廷闘争の末、懲役20年の判決を受けました。このスキャンダルは軍部の不満を招き、1926年のクーデターと独裁政権の誕生につながりました。

ウォーターロー・アンド・サンズは大規模な訴訟に直面し、会社をほぼ破綻に追い込みました。アルトゥーロは1955年、再び詐欺を企てた後、獄中で亡くなりました。彼の束の間の栄光は、ポルトガルの政治情勢を永久に変え、一人の男の大胆な詐欺がいかに歴史を塗り替えることができるかを示しました。